3分でわかる介護経営

【第13回】介護業界の研修と助成金

投稿日:2018年1月24日 更新日:

介護業界には、さまざまな資格を持っている方々が従事されています。そういった資格や技術を取得するための研修会や、それらに活用できる助成金について、社労士の三浦先生にお話をおうかがいしました。

介護業界の研修への意識は高い

―――― 介護業界は取得するべき資格や技術が多いイメージがありますが、そういった研修は実際に事業所内で行われているのですか?

三浦先生 教育が大切、と言われている業界ですので、研修に対する意識は高いと思います。介護業界で行われている研修は、「技術を習得する研修」、「コミュニケーション能力を鍛える研修」、「労務や人事マネジメントに関する知識を習得する研修」の大きく3つに分類されます。
私は社会保険労務士という職業柄、労務系の研修やハラスメント研修をお手伝いすることが多いのですが、私たちのような講師を招いて施設内で研修を行う以外にも、外部の研修機関に受講しに行くという方法もあります。

研修には助成金が活用できる

―――― 研修を行う、もしくは外部機関に受講しに行く。どちらにしても費用や時間がかかりますよね? そうなると、小規模な事業所などのスタッフは、研修を受ける機会が少なくなってしまうのではないでしょうか。

三浦先生 確かに、小規模の事業所はスタッフの研修や勉強のために時間をとることが難しいかもしれませんね。実際に私が研修を依頼されるのは、100人規模の大きな施設が多いですし。しかし、費用に関してだけ言えば、助成金を活用して研修を行うことが可能です。例えば、研修制度を導入・実施に対する『職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース)』
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/teityaku_kobetsu.html)、特定訓練や一般訓練を行うための経費を助成する『人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)』
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html)、有期契約労働者等に対する職業訓練を助成する『キャリアアップ助成金(人材育成コース)』
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html)などが活用できます。また、外部研修の受講料の一部を助成する『介護職員資格取得支援事業(研修受講料)補助金/埼玉県』
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0603/kaigo-net/shikakushutoku/1.html)や、
『介護人材キャリアアップ助成金のお知らせ/東京都葛飾区』
http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000051/1002104/1013125.html)などもあります。

―――― 色々と活用できる助成金があるんですね。

三浦先生 実はそうなんです。ですから是非、ご自身の地域や事業形態に該当する助成金を一度調べてみる、または社労士にご相談されることをお勧めします。研修の形としては、自社内で行うものと他社の機関に受講しに行くものと2パターンあると申し上げました。そして、その両方とも助成金の対象ではありますが、私個人の意見としては、まずは社内できちんと研修を行うべきだと思っています。

社内研修でしっかりとした社員教育を

―――― 手間や費用がかかっても社内で行ったほうがいいということですね。それはなぜでしょう。

三浦先生 研修を行う際、「実施しなければならないから」、あるいは「助成金が出るから」、“とりあえず”やっておこうという思考に陥ることもあると思います。ですが、本来研修とは、事業所の目標を達成するために、事業所の質をより高めるために行われるスタッフ教育です。ですから、研修を行うにあたっては、事業所の目標や経営の方向性などをしっかりと固めて、その上で講師の方々と相談しながら行っていくことが理想的だと考えます。技術研修等は社内レベルを一定に保つためにも、社内で研修を行ったほうがよりメリットは大きいでしょう。

経営幹部は地域連携のために外へ

―――― 外部の研修を受けに行かせるのは、社内研修できちんと育ててから、ということですね。

三浦先生 そうです。また、事業所外の研修等に参加するべきなのは、実は経営幹部や役職の上の方たちだと思っています。介護業界は、地元地域とのつながりが非常に重要な業種です。特に規模の小さい事業所ほど、地域に根付いているかどうかが経営に大きく影響してくるでしょう。そこで、地域で行われている勉強会や異業種の人々があつまるコミュニティに参加していくことで、地域住民はもちろん、地元地域の企業とのつながりも強くなります。熊本市には、医療介護に従事する多職種の人々が集まり、地域の医療連携を考える『在宅支援研究会 てとてとココロ』(http://www.tetotetokokoro.net/)というコミュニティがあります。こういった場での出会いは、勉強のみに限らず事業を大きくする出会いや営業活動としても活用できますので、是非、積極的に参加してほしいと思います。

<次回予告>
第14回は「介護スタッフのキャリアパスや副業、経営者としておさえるべきポイントは?」をお届けします。
2月12日(月)更新予定です。
お楽しみに!

三浦 修先生プロフィール

【資格】
・社会保険労務士 ・2級FP技能士(ファイナンシャルプランナー)
・全米NLP協会公認プラクティショナー
・LABプロファイル(R)プラクティショナー

【役職】・クロスフィールズ人財研究所(社会保険労務士事務所)代表 http://www.cf-labo.jp/
・一般社団法人 医療介護経営研究会(C-SR)代表理事 http://www.c-sr.jp/
・社労士の実務経営を考える会 主宰 http://sr-keiei.com/
・一般社団法人 マイナンバー推進協議会 顧問 https://www.mynumber.or.jp/

【プロフィール】
2003年社会保険労務士試験合格後、税理士法人さくら優和パートナーズに会計監査担当として従事。会計事務所では会計監査業務(特に医療介護)、はじめ税務調査対応等、社会保険労務士業務等幅広く経験。その後2008年8月にクロスフィールズ人財研究所開設、現在に至る。

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