3分でわかる介護経営

【第11回】介護業界の「働き方改革」は、離職防止である

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「働き方改革」というキーワードがメディアでも多く取り上げられています。政府の掲げる改革はどんなものなのか、そして介護業界はそれにどう向き合い、どう対応していくべきなのかを社会保険労務士の三浦先生にお伺いします。

【働き方改革とは?】
安倍内閣が掲げる「一億総活躍社会」を実現するためのもので、主な論点として下記がある。
・長時間労働削減に向けた取り組み
・労働同一賃金
その他、AI(人口知能)などの技術を活用した生産性向上や在宅ワークの導入・促進などが具体的なトピックとしてあがっている。

介護業界にとっての働き方改革とは

―――― 働き方改革というキーワードをよく耳にします。介護事業の経営者はどのような点に着目すべきなのでしょうか?

三浦先生 政府が掲げる働き方改革についての話題は色々とありますが、まずはAIについてお話します。AIに取って代わられる職種・仕事についての話題もよく取り上げられていますが、介護業界についてはどうだと思いますか?

―――― ケアマネージャーとしてAIを導入しようという流れはありますよね。

三浦先生 その分野については検討がされていますが、基本的に、介護の仕事はAIやロボットにすべてを任せられる職種ではありません。人間だからこそできる業務が多いため、AIの脅威は比較的少ない業界と言えるでしょう。

働き方改革が離職防止につながる

―――― 逆に言うと、AIによる人手不足解消や長時間労働の削減等は難しいということですか?

三浦先生 確かにAIの活用による改善は難しいかもしれません。しかし、介護事業所の経営者の方々には、違う角度からの取り組みをお勧めしたいです。僕は、『介護業界における働き方改革=離職防止』と考えています。

―――― 働き方改革に取り組むことによって、介護業界にとって大きなテーマである“離職防止”に繋がるということでしょうか。

三浦先生 そうですね。離職防止のための職場環境改善策と考えてもらっていいと思います。まず、介護業界は拘束時間が長いというイメージがあると思いますが、実際には、シフト制を敷いている事業所が多く、月間何十時間以上の残業が発生する業種とは異なります。平成28年の調査によると、1週間の残業時間が平均は1.9時間とありますから、月間でも約8時間程度ということになります
(参考:(公財)介護労働安定センター「平成28年度介護労働実態調査/介護労働者調査の統計表(pdf)P22」 http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h28_chousa_roudousha_toukeihyou.pdf)。

生産性をいかに向上させるかがカギ

―――― ということは、長時間労働の削減にも当てはまらない業界だと。

三浦先生 しかしながら、残業が少ないというだけで、長時間働いていないというわけではありません。ですから、介護業界としては「生産性向上」という観点で政策に取り組んでいくと良いと思います。介護業務というと、要介護者の介助が主な作業と思われがちですが、実際には介護記録や報告書などの事務処理にも膨大な時間と労力がかかっています。以前は、それらの作業はすべて手書きで行うというアナログなものでしたが、最近では、手書きしたものをデータ化したり、スマホ等の機器を使った簡単入力や音声認識などのIT機器の導入も進んでいます。そういったツールを活用して効率化を図ることは非常に有効だと思います。生産性が向上すれば、自然と残業時間も圧縮されますからね。

―――― そういった工夫をしている事業所は、採用率や定着率もよくなりそうですね。

三浦先生 働き方改革と離職防止と人材採用。これらはすべて繋がっています。この点は、ぜひ理解しておいてもらいたいポイントです。短期間で従業員が何人も入れ替わるよりも、同じ人が慣れている環境で働き続け、その環境の中でどんどんステップアップしてもらうほうが、作業効率が上がるのは明白ですよね。つまり、そういったツールを導入するなどの工夫をして、今働いてくれているスタッフが長く働いてくれる環境を整えることこそが、生産性の向上に繋がるのです。

スタッフを事業運営に巻き込むのも◎

―――― 大きい事業所ではそのようなIT機器の導入などによる職防止策も可能だと思いますが、訪問介護やデイサービス、小規模の事業所などはどういった対策がとれるでしょうか?

三浦先生 小さな事業所にとって大切なのは、地域密着の意識です。きちんとしたミッションやビジョンを持ち、いかに地元に根差したサービスを創り出せるかが非常に重要です。また、経営者だけでなく、スタッフも事業運営に巻き込んでいくのも良いと私は思っています。事業所が一丸となって「この地域の人々と一緒にサービスを創っていく」という意識を常に持ち、少しずつでも地元地域との繋がりを深めていくことを是非お勧めしたいです。

<次回予告>
第12回は「真の法令遵守が、離職率の低下につながる」をお届けします。
12月25日(月)更新予定です。
お楽しみに!

三浦 修先生プロフィール

【資格】
・社会保険労務士 ・2級FP技能士(ファイナンシャルプランナー)
・全米NLP協会公認プラクティショナー
・LABプロファイル(R)プラクティショナー

【役職】・クロスフィールズ人財研究所(社会保険労務士事務所)代表 http://www.cf-labo.jp/
・一般社団法人 医療介護経営研究会(C-SR)代表理事 http://www.c-sr.jp/
・社労士の実務経営を考える会 主宰 http://sr-keiei.com/
・一般社団法人 マイナンバー推進協議会 顧問 https://www.mynumber.or.jp/

【プロフィール】
2003年社会保険労務士試験合格後、税理士法人さくら優和パートナーズに会計監査担当として従事。会計事務所では会計監査業務(特に医療介護)、はじめ税務調査対応等、社会保険労務士業務等幅広く経験。その後2008年8月にクロスフィールズ人財研究所開設、現在に至る。

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