3分でわかる介護経営

【第8回】介護業界で生き残るための必要な多角化とは?

投稿日:2017年10月23日 更新日:

介護経営に詳しい社会保険労務士の三浦先生にお話しを聞くコーナー。第8回となる今回は、経営の多角化について。介護事業者だからこそできる新しいサービスとは?

経営の多角化とは

―――― 三浦先生のお話を聞いていると、経営の多角化というキーワードをよく耳にします。具体的に多角化というのは、どういうことなのでしょうか?

三浦先生 規模を拡大していくM&Aなどもありますが、多角化においては介護保険外サービスをいかに展開できるかがポイントです。

介護と相性の良いサービス

―――― 例えば、どんなサービスがありますか?

三浦先生 介護と相性の良いサービスってあると思うんですよ。例えば「40代50代の人たちが要介護にならないための健康維持サービス」とか。または、「入所すると要介護のレベルが改善して、みんな元気になっていくデイサービス」のような事業を展開しつつ、事業基盤となる介護施設の経営を固めていく、というものいいと思います。

多角化も経営力

―――― 健康維持はおもしろいですね。

三浦先生 介護施設には管理栄養士がいたり、理学療法士がいたりして、健康事業をやれる人材が揃っていますよね。例えば、管理栄養士が献立を考えて配達専門のお弁当屋をやってみる。あるいは、どこか別の会社や団体と連携して見守りサービスを始めるなど、収益をガンガン稼げる分野をみつけて営業活動をしていく。それこそが経営力だと考えています。

―――― なるほど。

三浦先生 実際に知っている例をお話しすると、女性向けのフィットネスクラブをフランチャイズ展開している介護事業者さんや、本格的なトレーニングジムを展開しているデイサービス事業者さんもいますね。介護と健康って、言われてみれば近い業界だと思いませんか?

資格を持った専門家がいるからこそ

―――― 確かに。資格を持った専門家がいるからこそ、できるサービスがありそうですね。

三浦先生 そうなんです。介護事業者向けの採用コンサルを始めた人もいます。要するに、介護という枠にとらわれず、新しいことにチャレンジしていくことが大切なんです。特に介護現場からの叩き上げで経営者になった人は「利用者に寄り添う」という想いが強く、経営者になっても現場重視になる傾向があります。確かにそれも大事ですが、経営を安定させ、従業員や介護職員が安心して働ける場所を作るのも経営者の本来の役割ですから、自分で発想して、どんどん売上を造っていくべきだと私は思います。

健康産業以外にも、親和性が高い分野は

―――― なるほど。健康産業以外にも、親和性が高い分野はありますか?

三浦先生 今後、関連性が高まるのではないかと思っているのは、歯科です。国が整備を進めている地域包括ケアシステム(重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい生活をするための「住まい・医療・介護・予防・生活支援」が一体的に提供されるシステム)では、歯科の訪問診療を推進していますし、要介護者への歯科治療の必要性もうたわれてきています。今後は、介護と歯科という事業サービスの組み合わせも出てくるのではないでしょうか。

―――― 歯科と介護…確かに今まであるようでなかった組み合わせですね。新しいサービスを始めるにあたり、経営者として大切なことはなんでしょうか。

三浦先生 マーケティングや営業という視点が必要になってきますね。施設やデイサービスなどの運営は何年かすれば動きを読めるようになるはずです。ですから、施設運営は思い切って信頼できる部下に任せ、経営者は未来のための人脈づくりや新しい収益源を考えることに重きを置いてもいいと思います。

新しい視点が必要

―――― 新しい視点が必要ということは、外部から経営者を雇うのもありなのでしょうか?

三浦先生 新しい人材を登用する、外部のコンサルティング会社を使う、今の従業員を経営者に育てる…など、その方法はたくさんあります。一概にどれが一番とは言えませんが、僕の知っているお客様には、他業種から来た方が経営をされているところがあるのですが、経営は順調のようですよ。現場との信頼関係が上手に構築できているのだと思います。これからは、経営者の人間力やマネジメント力が問われる時代になるのではないでしょうか。

<次回予告>
第9回は「介護施設のトラブル(仮)」をお届けします。
11月13日(月)更新予定です。
お楽しみに!

三浦 修先生プロフィール

【資格】
・社会保険労務士 ・2級FP技能士(ファイナンシャルプランナー)
・全米NLP協会公認プラクティショナー
・LABプロファイル(R)プラクティショナー

【役職】・クロスフィールズ人財研究所(社会保険労務士事務所)代表 http://www.cf-labo.jp/
・一般社団法人 医療介護経営研究会(C-SR)代表理事 http://www.c-sr.jp/
・社労士の実務経営を考える会 主宰 http://sr-keiei.com/
・一般社団法人 マイナンバー推進協議会 顧問 https://www.mynumber.or.jp/

【プロフィール】
2003年社会保険労務士試験合格後、税理士法人さくら優和パートナーズに会計監査担当として従事。会計事務所では会計監査業務(特に医療介護)、はじめ税務調査対応等、社会保険労務士業務等幅広く経験。その後2008年8月にクロスフィールズ人財研究所開設、現在に至る。

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