【第7回】介護業界の倒産が急増、施設を存続するために大事なことは?

【第7回】介護業界の倒産が急増、施設を存続するために大事なことは?

介護経営に詳しい社会保険労務士の三浦先生にお話しを聞くコーナー。第7回となる今回は、介護業界の倒産をテーマに、これからの経営者にとって大切なことをお伺いします。

―――― 2016年度の老人福祉・介護事業の倒産は107件、前年比で67.1%増というデータが出ています。

三浦先生 国の施策として、施設での介護から在宅での介護に舵をきっているので、これからも厳しい状態は続くのではないでしょうか。介護報酬も厳しくせざるを得ない状況だと思います。数が増えれば、当然、淘汰されるものも出てくるので、自然の摂理のようなものかもしれません。

―――― 倒産した中には社会福祉法人もあり少し驚いたのですが、三浦先生は社会福祉法人の倒産をどう考えますか?

三浦先生 社会福祉法人は法人税を免除されているので、一般企業に比べて有利な点もありますが、倒産することも当然ありえます。税金の優遇や多額の補助金を受けられる学校法人でさえ、倒産する時代ですからね。

―――― 社会福祉法人も、民間事業者と状況は変わらないんですね。

三浦先生 他の介護事業者よりも守られているというイメージを持っている方も多いかもしれませんが、そんなことはありません。これから介護業界に参入しようとしている人の中には、税金のメリットを考えて社会福祉法人をと考える人もいるかもしれませんが、昔はあった補助金の適用もなくなってきていますし、社会福祉法人への締め付けはますます厳しくなるのではないでしょうか。設立の申請が通るのも難しくなるでしょう。ですから、社会福祉法人にこだわるよりも、介護業界をよく知った会計士や税理士、社会保険労務士と二人三脚で経営していくことのほうが遥かに有益だと私は考えます。

―――― 介護業界をよく知った……とおっしゃいましたが、介護業界は特殊なのでしょうか?

三浦先生 私はご縁があって介護業界や医療業界のお客様とお付き合いをしていますが、周りを見渡しても社労士なら誰もが対応できる業界とは言えません。介護業界は社会福祉法人や社団法人が運営している場合もあるし、株式会社や有限会社が事業展開している場合もあります。同じ介護事業でも運営する法人の形態が混在しているんです。このような業界は非常に稀なので、適切な対応ができる人材は多くはないでしょう。会計士や税理士、社労士を選ぶ際は、介護業界をきちんと理解しているかどうかを、ぜひ確認して頂きたいです。

―――― そんな特殊な業界で経営を続けていくのも、やはり難しいのでしょうか? 倒産をしないために、経営者が気をつけておくことはありますか?

三浦先生 とにかく情報収集です。そして、情報収集をする意識を常に持っておくことが大事ですね。戦後70年が経ち、世の中全体が大転換期と言われていますが、介護業界の変化は本当に速いんです。介護報酬の改定で加算があったかと思えば、今度は加算をなくして減算と、目まぐるしく変わります。そういった情報を、いかに早くキャッチして先手を打てるかが、経営のカギになると思います。

―――― 変化が早いからこそ、情報収集が大事だと。

三浦先生 そうです。少子高齢化や団塊世代の年齢があがっていることを考えれば、変化が起きるのは当然です。だからこそ、介護事業を成功させるには、日々の勉強なくしては難しいのではないでしょうか。ただ、許認可事業として守られてきた部分もあるので、危機感を持ちにくいのも確かなんです。

―――― しかし、当たり前ですが、民間企業は危機感を持って経営していますよね。

三浦先生 近年では、民間の大手企業が次々と介護業界に参入してきているので、これからは他業界と同様、同業者と競争していかなければなりません。しかしながら、そんな現状自体を認識していない経営者が多いのも事実なんです。介護施設を造れば人が集まる・儲かるという時代は終わったということをきちんと認識すること。そして、経営をしていくための情報収集や勉強を着実にしていくことが何よりも大切です。「ゆでガエル現象」(※)にならないように、気をつけて頂きたいですね。

(※)慣れた環境に浸りすぎて変化に気づかず、気づいた時には手遅れになってしまっている状態・現象のこと。

<次回予告>
第8回は「介護業界で生き残るために必要な多角化とは?」をお届けします。
10月23日(月)更新予定です。
お楽しみに!

三浦 修先生プロフィール

【資格】
・社会保険労務士 ・2級FP技能士(ファイナンシャルプランナー)
・全米NLP協会公認プラクティショナー
・LABプロファイル(R)プラクティショナー

【役職】・クロスフィールズ人財研究所(社会保険労務士事務所)代表 http://www.cf-labo.jp/
・一般社団法人 医療介護経営研究会(C-SR)代表理事 http://www.c-sr.jp/
・社労士の実務経営を考える会 主宰 http://sr-keiei.com/
・一般社団法人 マイナンバー推進協議会 顧問 https://www.mynumber.or.jp/

【プロフィール】
2003年社会保険労務士試験合格後、税理士法人さくら優和パートナーズに会計監査担当として従事。会計事務所では会計監査業務(特に医療介護)、はじめ税務調査対応等、社会保険労務士業務等幅広く経験。その後2008年8月にクロスフィールズ人財研究所開設、現在に至る。

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